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症状: パソコンの電源を入れた直後にピーピーと音が鳴るだけで起動しない。その後画面が真っ暗なまま何も表示されない。いくら待っても画面は暗いまま。もっと正確に言えば、初めはディスプレイの緑色のランプがつきますが、すぐにオレンジのランプに変わってしまい、モニターの電源が切れてしまう状態。しかし、パソコン側は緑色のランプはついてはいるが、ビープ音が鳴り終わってから沈黙するのみです。ランプだけついて、パソコンの電源が入らないように見えます。
多くの場合、使用後何年も経過した古いパソコンで発生します。
類似例としては、パソコンにメモリーを追加したり、グラフィックボードを追加したりした直後に似た現象が起きた場合は追加部品が原因で、この現象とは異なります。
あの音は何?
BIOSと呼ばれる、PCの部品情報を管理する、最も基本的な中枢部分がパソコンのパーツの異常な部分を診断し、モールス信号のように音の長短と数で伝えてくるのです。例えば、プープーと長音で2回鳴ったり、ピッピッピッピッと短音で4回鳴るのは違う情報を伝えてきている事を意味しており、それはパソコンとは違うBIOSのメーカー毎に一覧表が用意され、それぞれ異なる意味が与えられています。

解決方法:
原因は、ビープ音をBIOS一覧表に照らし合わせた結果と必ずしも一致しません。PC内に積もり詰まったホコリの悪影響で、パーツが壊れたと診断されたりする事などもあるからです。つまり、あきらめるのは早計で、清掃などで初心者がパソコンを生き返らす手段も残されていると言えます。主な回復手段は電池交換、パーツの入れ直し、ホコリ掃除です。これでダメだった場合は、修理を考えることになるでしょう。本当にCPUやメモリーが壊れている可能性もあります。パソコンが古い場合は同等品が非常に手に入りがたいため高価になりがちなので、なるべく避けたい所ですね・・・
それでは、以降は実際の回復ステップに入ります。

STEP1 電池交換

  古いパソコンをしばらく使ってないと、パソコン内のボタン電池が無くなってしまうことがよくあります。よく使われるボタン電池は「CR2032」です。100円ショップで手に入ることが多いので、初めに揃えておくのがよいでしょう。 

PCの中では、右図の赤丸内のように基板に埋め込まれています。これを交換するわけです。
 
では、パソコンの電池交換までの過程をNECのVALUESTARを例にして解説します。
 下図のようなコンパクトタイプは、コンパクトさが逆に災いして、中をいじるのが厄介です。    こういうタイプのパソコンはネジ止めではなく、ストッパーでフタの開閉ができます。下図赤丸内のつまみを中央へ寄せるとフタのストッパーが外れます。
     
 ストッパーをはずすと、フタがスライドできるようになります。
 
 全部はスライドできませんので、ある程度開いたら、フタを上に持ち上げて外します。
外したフタの通気溝には、ホコリが詰まってるはずです。この機会に掃除しておきます。
 
  フタを外すと左図のようになってます。青丸内はフロッピーディスク装置。これを外すと下にCPUとファンがあり、ここがホコリでやられて起動しなくなる事例がありますので、このフロッピーを外します。また、ここのすぐ横にメモリーが取り付けられています。メモリーエラーは、ここのメモリーをいったん外し、再度しっかり取り付け直す事によって直ることがあります。

赤丸内の小さな基板を取り外すと、その下にボタン電池があります。

ここから先はパソコン内に触れる非常にデリケートな作業になります。指先の静電気は厳禁です。触れただけで電子部品を壊していまいます。作業前に必ずドアノブや水洗の蛇口などの金属に触れて、静電気を放出してください。メタリック塗装の金属に見えるプラスチックでは放出できませんので、注意して下さい。
  左図は上記の赤丸内のパーツの拡大図です。これはFAXモデム機能をパソコンに与えるパーツです。 このパソコンには、このようなパーツが3枚までセットできるようになっています。このパソコンに機能を追加する時、右の残り2枚の金属片を外し、2種類の追加パーツに交換するわけです。
画面右下の金属棒は、これらの金属片を外れないように固定するバーです。

これらの意味と形がわかれば、パソコンからこれらを外す時も失敗しにくくなります。
  上記の説明を理解した上で、右図を見て下さい。黄色丸内が固定バーです。これを上に持ち上げて外します。
次に青丸内の金属片2枚です。固定バーを外した後は緩んでいますので、横にずらせば外れます。くれぐれも下の基板に落とさないように注意して下さい。

最期に赤丸内のFAX基板です。指先の静電気をもう一度放出させておきましょう。右側の白いコネクタ部分にはめこんでありますので、細心の注意を払いながら、左右に少しだけ揺すりながら、少しずつ外していきます。



 
 FAX基板を外すと、下図の赤丸内のように、やっとボタン電池が顔を出します。    下図の赤丸内の突起をつまむと、ボタン電池が外れて交換できます。外した時に基板の上に転がり落ちないように気を付けてください。
表裏を間違えないように取り付ければ、電池交換は終了です。
FAX基板類を元通りに戻して下さい。
     
STEP2 ホコリ掃除

さて次はホコリ掃除です。これで復帰した事もあるので、侮れません。フタの隙間のホコリの清掃は終わりましたか?
それが終わったら、今度は内部の清掃です。基盤が見えたら、息を思いっきり吹きかけてみましょう。意外なほどホコリが舞い上がりませんか? この機会に内部のホコリは吹き飛ばしてしまいましょう。勢い余ってツバなど飛ばさないように注意しましょう。
それが済んだら、今度は部品を外して、息が届かない部分を清掃します。

  まずフロッピードライブを外します。そのためにはPCの正面に回り、右図の赤丸内の固定ネジを外します。 
  固定ネジを外せば、フロッピードライブは押していくだけで簡単に外れます。コネクタケーブルはつけたままでも作業はできますが、しっかり取り付け直したい人はここで一旦外してもいいでしょう。

そうすると左図の赤丸内のような黒い小さな扇風機のようなものが現れます。これがCPUの熱をさますファンです。4隅にネジがあるので、これも外し、表も裏面も絡みついているホコリを綺麗に取り除いて下さい。
 ファンを取り外すと、下図のようなCPUの放熱部が現れます。ここが下のようにホコリで詰まっていたら危ないです。ツマヨウジなどを使って、溝の中の一本一本からホコリを取り除いて下さい。    4隅のネジ固定部の下にもホコリが詰まってることが多いので忘れずに。このようにここを綺麗にしたら復帰した例もあります。
     
STEP3 メモリー再接続

掃除は終わりましたか? ファンの掃除で取り除いたホコリが基板の上に落ちていませんか? もう一度ホコリを吹き飛ばしたら、次のステップに移ります。
回復手段として、よくあるケースのひとつにメモリーの取り付け直しがあります。メモリーは静電気に極めて弱いです。指先の静電気を今一度放出ください。それではやってみましょう。

  このPCでは、右図の赤四角内のように先ほど清掃したCPUの放熱部分の横にメモリーがあります。
これをいったん外し、着け直します。


 
  メモリーの取り外しは、右図の赤丸内のようにメモリー両端の白いレバーを開くことによって、コネクタから外れる構造になっています。
  メモリーの接続部が黒くなったりしていてもササッと拭いてはダメです。静電気が起きないようにゆっくり慎重に拭いて下さい。そして右図の赤丸内のヘコミとコネクタ内の突起が合うように差し込み直して下さい。 

最期に

これで終了です。外した部品を元通りに戻し、電源ボタンを押して下さい。
たぶん、これで多くの方が起動するのではないでしょうか。

起動した方はパソコンの時計を確認して下さい。現在時刻と大きく違ってる方は、パソコンのボタン電池が大きく消耗していた方です。
BIOS画面で時刻の再設定をして下さい。パソコン起動時にNECのロゴなどが表示されている間に「F3」キーを押せばBIOS画面が表示されます。
BIOSで設定を変えたことのある方も念のため、チェックしておいて下さい。

これで皆さんのパソコンが立ち上がることを祈ってます。

ピッピッピッピッとPCから音がするだけで立ち上がらない。モニタに何も映らない恐怖。それは、もはや立ち上がる力は失われ、最後の力でメッセージを伝えようとする瀕死の人の姿に似ています。しかし、諦めない! 情報が何も表示されないので、頼りは音だけ。パソコンを救い出しましょう!!

あきらめない! ビープ音が鳴るだけで、パソコンが起動しなくても!!

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