eMachines J4504にファンレスグラフィックボードをセットする。

 ファンレスのグラフィックボードの短所と長所

一般にPCをうるさくするのはファンの回転音です。ファンレスのグラボは文字通りファンがなく、音が気になる人には大歓迎のアイテムです。しかし、発熱が多いのでファンを取り付けて冷やすのが一般のグラボ。これをファンレスにするために、巨大な放熱板が取り付けてあり、これで熱を放出する仕組みになっています。そのため一般のグラボより冷却性能が劣ります。
だからといって、冷却ファンを追加したら再びうるさくなって本末転倒です。
一般に処理能力の高いグラボほど熱を出します。処理能力の高さにこだわるなら、素直にファン付きグラボを買いましょう。
以下に示す例は、本来は補助電源が必要なファン付きグラボだったのですが、省電力化を進めて本来のスペックを落とさずに加熱を下げ補助電源不要ファンレス化に成功したPowerColor AX5750 1GBD5-NS3DHの装着例です。





 
ファンレスのグラボは右の写真のように、赤い基板の下に黒い物体が見えますね。ファンの代わりに巨大な放熱板がついています。
たいがい下の拡張ボードの1スロット分の空間をまるまる使ってしまうので注意。

J4504の場合は、ここは貴重PCI express x1スロット。現行の高速SATAやUSBの拡張カードやビデオ録画カードはここを使うので、今後導入予定のある人は諦めるしかありません

ちなみに、その下に2個あるスロットは、PCIスロットと呼ばれ、旧規格の拡張カードを刺すためのスロットです。


 


ファンレスグラフィックボードのPC内の設置状態

  横から見ると黒い放熱板がどれほど空間を占有してるかがよくわかります。その上に載ってる茶色い板がグラボの基板本体に過ぎないのです。

さあよく見てください。ここから熱が放出されます。当然このままでは熱がここに溜まってしまいますよ!

解決策は? そう、ここに空気の流れを当てて、熱を逃がすのです。どうしたら空気を当てられるか考えてみましょう。
 

PC内のエアフローを考える。

 ではPC内の空気の流れを確認しましょう。PCの背面には大きなファンが2個ついてます。まず1個は電源ファンです。
以下の図ですと左上ですね。電源BOX内に直付けされていて、グラボと同じように部品が激しく熱を出すのでファンで排出しています。
もうひとつがPC内排気ファンです。下の図ですと、左の中間あたりですね。その目の前にある巨大なCPUファンが巻き上げる熱とPCケース内の熱を外に排出する重要なファンです。
空気が強制的にファンによって排出されれば、それと同じ量の空気がPC内に補充されます。PCにあらかしめ設定された吸入口やPCの隙間から外部の冷気が入り、空気の流れが起こります。その時に起こる空気の流れのエアフロー図が下図です。J4504の場合、前面下部に大きな吸入口があり、冷えた空気が下から行き渡るように設計されています。
 
 

PCの側面からの冷気の流れを確認する。


  次にPCの側面板の吸気口も確認してみましょう。小さなミゾが密集している位置が2箇所あるのがわかります。右図のように外して横に並べてみると・・・その位置はCPUファンとグラボの下に当たるのがわかります。グラボの真横ではなく下にあるのは、ここにも熱を出す拡張ボードがセットされる可能性があるわけで、熱は下から上に上がる性質を利用し、風の流れがここからグラボを冷やすように上がっていくわけです。

これでファンレスの放熱板に気流が当たり、熱が溜まらないのにも納得がいくわけです。

しかし! グラフィックボードの性能が高くて、PC内標準のファンでは不安の場合は・・・ファンを増設する? とんでもない! せっかくの静音性が台無しです。お金をかけずに冷却性能を上げる方法があるんです。
 



冷却性能を上げるには・・・「急流」を作り出す!


エアフローとは空気の流れです。水の流れに似ている性質があります。川を思い出してみましょう。下流の大きな広くて穏やかな川と上流の細くて狭い川。どちらの流れが激しいかはわかるはずです。PCにも同じ環境を作るんです!


  その方法とは外気吸入口の絞込みです。外気吸入口を閉じてしまうなんて怖い! なんて思うかもしれませんが完全に閉じるわけではありません。PC排気ファンのトルクは一定の排気量を常にキープします。つまり狭められた外気吸入口から、より多くの空気を取り入れる流れになります。これが先ほど話した狭い急流の川の流れの激しさです。

では右図を見てください。側面パネルを外して上に持ち上げた状態ですが、横にズラリと並んでいた下側の外気吸入口をグラボの幅に合わせて粘着テープで閉じてしまいます。テープは紙製より後で剥がし跡が残らない布製がベターです。

急流効果が発揮され、グラボの放熱板への冷却効果がグンとアップします。

PCを冷やしたいからと側面パネルを取り外してしまう人が時々いますがあれは逆効果です。
   

さあ続いて、無駄な隙間を塞いで、急流効果による冷却効果を高めましょう。

次は前面パネルに注目してください。あまり熱を出さないのに隙間があるSDカードスロット周りの無駄な隙間は塞いでしまいましょう。デコボコがあるので、食品用のラップなどでピッタリと塞ぎ、その上を透明テープで塞ぐと隙間風が入らなくなります。見た目が重要な方は、さらにその上に美しく飾る必要もありますね。

ただし、前面の増設スペースに熱を出すHDDなどを入れてある場合は、そこの周りの隙間はHDDを冷やすための気流の流れとして重要ですので、間違っても塞がないように気をつけてください。
ポイントはあくまでも熱を出しにくい所だけを塞ぐという事です。



このように冷却の必要のない隙間を塞いだ後は、もう一度PC内をチェックしてみましょう。コード類が風の流れを邪魔する壁状態になっている所はありませんか? そういう所は束ねて、スッキリとしましょう。束ね方が太くなって逆に風の流れを塞がないように、風が流れるイメージを想像しながら、その向きを邪魔しないように工夫して束ねてみると、より効果は大きくなります。

 
   
  ひと通り作業が終わり側面のパネルをPCに装着したら、先ほどの粘着テープを貼った横のミゾに細切りしたテッシュなどを近づけてみてください。ピタッと吸い付くほどの強力な吸引力ができていてビックリします。

これだけの気流がグラボの放熱板に当たるようになっていれば満足できるのではないでしょうか 。



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